卵巣年齢の改善・若返りって出来るの?

卵巣年齢の改善・若返りって出来るの?

卵子の老化を知らない患者の声から啓発活動を開始

AMH検査やF checkによって自分の卵巣年齢が分かると、「卵巣年齢の改善や若返りってできるのかな?」という考えが思い浮かぶかもしれません。 たとえば、栄養摂取によって卵巣年齢を若返らせることができるのではないか、また排卵を止める低用量ピルの服用で卵子の減少を止められるのではないか、と考える方もいるのではないでしょうか。 このコラムでは、栄養摂取によって卵巣年齢の改善や若返りができるのか、ピルによって卵子の減少は止められるのかについて説明します。

卵巣年齢は、卵子のもとになる原始卵胞が発育する過程で分泌されるホルモン「AMH」の値を調べることで「残っている原始卵胞の数の目安」を推計して算出しています。

よって、あくまで卵巣年齢が示すものは「卵子の数」であり、「卵子の質」ではありません。 卵巣年齢から分かることは「妊娠のために残された期間が短いかどうかという目安」であり、 「妊娠のしやすさ」を示すものではありません。

なので、卵巣年齢が高い(AMHが低値)からといって妊娠しにくいということではないことは最初にご理解ください。 卵巣年齢についてはこちらのコラムで詳しく説明していますのでご覧ください。

卵子の数は生まれる前がピークでその後は減少し続ける

卵子の元となる原始卵胞は胎児期に最も多く、その後は増えることなく減っていきます。 原始卵胞は、お母さんのお腹の中にいる5ヶ月頃までに約700万個つくられ、その時期に原始卵胞の数が一番多くなるくと言われています。 その後、原始卵胞は時間の経過とともに減り続けます。

実は産まれたときには200万個まで減り、生理が始まる思春期には30万個まで減ります。 その後も減少は止まらず、1回の生理周期で約1000個ずつ減少していきます。 1回の生理周期で減る卵子の数ですが、「卵子は1個だけ排卵されるのだから、1個じゃないの?」と思っていた方が多いのではないでしょうか。 実は、卵巣内では複数個の原始卵胞が同時に発育し、そのなかでも成熟した1つの卵子のみが排卵され、残りの卵子は成熟過程で消失しているのです。

【参照】 一般社団法人日本生殖医学会

卵子の減少スピードは人それぞれ

同じ年齢の人でも卵巣年齢が異なる理由は、卵子が時間の経過と共に減少していくのはどの女性にも共通のことですが、卵子の減少スピードは人それぞれだからです。 卵巣年齢が高い人は「卵子の減少を防ぐ方法」「卵巣の老化を食い止める方法」などネットで検索することもあるでしょう。

検索すると「冷え対策」や「ビタミン類の摂取」など様々な記事を見かけますが、医学的には確実に卵子の減少を止める、または減少スピードを緩める方法はありません。

「卵子の減少」は止められない、それが今の医学的な解答なのです。

卵巣年齢が改善することはある?

ビタミンDでAMH値が高くなることも?


卵子の減少自体は食い止められませんが、ビタミンDの摂取によってAMHの値が改善する(高くなる)ことはあります。 冒頭で説明しましたが、AMHは原始卵胞が卵子へと発育する過程で分泌されるホルモンです。 卵巣年齢が高い(AMHが低値)場合に考えられることとしては、そもそも原始卵胞が少ないのでAMHが低値である場合と、 原始卵胞はたくさんあるのに卵子の発育が上手くいかず分泌されるAMHが少ない(AMHが低値)という場合が考えられます。

実は、ビタミンDは、卵胞の発育に大きく関与しているとする研究報告があります。 なので、ビタミンDが不足すると卵子の発育が上手くいかずAMH値が低い場合があるのです。 ですから、ビタミンDを食べ物やサプリメントで補ったり、太陽にあたって体内でのビタミンD生成を促したりすることで、卵胞の発育状態が改善され、AMHの値が高くなる可能性があります。

ビタミンDの摂取はAMHの数値改善以外にも、妊娠においては重要な栄養素の一つです。 なので妊娠を望まれている場合は積極的な摂取を心がけてください。

しかし卵巣年齢が高い(AMHが低値)である理由として、そもそも原始卵胞が少ないということは十分に考えられますし、 ビタミンDを摂取したとしても卵子の減少を止めることはできないため、卵巣年齢を参考にしたライフプランニングをしてほしいと思います。

【参照】 科学研究費助成事業 研究成果報告書(25870726)

低用量ピルの服用は卵子が減るスピードを遅くする?

「卵子の減少を食い止める方法」としての誤解を最後にお伝えしておきます。 「排卵しないようにすれば、卵子の数は減らないのでは?」と、低用量ピルを服用することで生理を止めて、卵子の減少を抑えられると考える方もいるかもしれません。 しかし、残念ながらピルを服用していても原始卵胞の減少を食い止めることはできず、閉経のタイミングは変わらないと言われています。

まとめ

卵巣年齢の若返りや、AMHの数値の改善は、一度検査を受け、結果が悪かった方にとっては気になることだと思います。 また、卵子の減少スピードを抑える、卵子が減らなくなる、といった効果を期待して低用量ピルを飲めばいいと考えていた方もいるかもしれません。

しかし、残念ながら、「生活習慣や食事の見直し」や「低用量ピルの服用」等で卵子の減少を食い止めることは出来ません。 卵巣年齢を知ってから大切なのは、それをもとに自分のライフプランや、パートナーとの妊活または不妊治療の計画を立てることです。

すでに卵巣年齢を測った方は、改めてライフプランや妊活・不妊治療の計画を考えていただきたいですし、 また、まだ測ったことがないという方は、ライフプランニングのためにも早めに病院での検査やF checkを使って自分の卵巣年齢を確認してみてください。

笛吹和代臨床検査技師 認定不妊カウンセラー前職勤務時に不妊治療と仕事の両立に悩み不妊治療退職を選択する自身の不妊経験から不妊治療や不妊治療と仕事の両立について誰にも相談できない環境、適切な情報や知識を得る機会がない事を知り不妊に悩むカップルの相談場所、適切な知識や情報を提供する場を作りたく独立現在は不妊相談やコラム執筆などを行う

笛吹和代
臨床検査技師 認定不妊カウンセラー

前職勤務時に不妊治療と仕事の両立に悩み不妊治療退職を選択する
自身の不妊経験から不妊治療や不妊治療と仕事の両立について誰にも相談できない環境、適切な情報や知識を得る機会がない事を知り
不妊に悩むカップルの相談場所、適切な知識や情報を提供する場を作りたく独立
現在は不妊相談やコラム執筆などを行う